25年3月第2例会
- 直宏 太田
- 2024年10月21日
- 読了時間: 6分
更新日:3月19日
と き:3月18日(火)19時〜20時40分
ところ:ミュージックバー OMS
出席者:リアル ワイズ 11名・ゲスト 2名・配信員 2名・合計:15名
遠隔地 ワイズ 4名(岡山、神戸、米子、富山)・学Yシニア 1名
総合計 20名
朝ドラ「おむすび」で話題沸騰中。
NST(栄養サポートチーム)と院内飢餓
〜協立病院NSTは、今年で開設20年目を迎えました〜
NHK朝の連続テレビ小説「おむすび」。ドラマ主演は橋本環奈さん。平成元年生まれのヒロインが、栄養士として、人の心と未来を結んでいく“平成青春グラフィティ”です。主人公・米田結が、激動の平成・令和を思いきり楽しく、時に悩みながらもパワフルに突き進んでいくお話です。現在結は、管理栄養士となり、NSTに加わり、日々悩みながら患者さんと向き合っています。
岡山協立病院では、2005年5月よりNST活動を実施し、今年で20年目を迎えました。今回のゲストである板野ドクターを中心に、歯科医師・看護師・管理栄養士・薬剤師・言語聴覚士・臨床検査技師で構成され、栄養管理が必要な患者さんに適切な栄養支援を行っています。栄養状態が悪いと病気が悪化したり、手術後の回復が遅れたり、QOL(生活の質)が低下するだけでなく、術後合併症や感染症、褥瘡などの発生にもつながります。
今回の卓話では、このあまり知られていないNSTの実態を会員である板野さんからお聴きします。
講演者:板野 靖雄さん 岡山協立病院 内科 消化器内科・栄養サポートチーム委員長
鳥取大学YMCAシニア
日本基督団 岡山信愛教会役員
岡山ワイズメンズクラブ会員
板野さんは、学Yでの出会い(人や言葉)によって、自分の言葉で語ることの大切さやイエス・キリストの示された生き方を実践することへと招かれたということをよく語られます。その実践の場が、協立病院です。栄養サポートいう概念がほとんどなかった2005年の頃から、NSTの大切さに気づき、今日まで実践を重ねてきました。今や大変有名となりつつあるNSTの実態について思う存分語っていただきます。

発表の骨子(当日のパワーポイントです)
あなたの親、兄弟姉妹、親戚が病院に入院した。あるいは施設に入所した。そしてあなたは面会に行った。するとその人がとても痩せていた。これで大丈夫なのか?あなたは心配になった。ではこの状況であなたはどうすればいいか?そのためにあなたが知っておくべきことは何か?そのような問いかけから講演は始まった。
板野さんが今、協立病院の医師として、この場に存在しているのか。そんなライフィヒストリーを最初に丁寧に語ってくださった。原点は鳥取大学YMCAでの恩師であるヨーダこと、齋藤皓彦さんや当時の友人達との聖書研究会にあった。友との語り合い、本との邂逅、人との出会い、加えて伴侶である昇子さんとの出会いが、その後の人生を決定づけた。そこで板野さんは、「神さま」と出会い、つながり、大きく変革されたのだ。
「君自身の言葉があって初めて他人と知り合うことができる。他人とコミュニケーションできる。新しい発見ができる。そしてまた新しい言葉が生まれる。それらによって君の知識は初めて意味のあるものになる。」そのような珠玉の言葉との出会いを重ねながら、夫婦揃って「私たちはお返しできないほどの多くを受けた」と思い、「人から受けた恩はその人に返すな。それはやくざの論理。受けた恩は他の人に返しなさい」というヨーダ齋藤の言葉を胸に、その後の医師としての生き方が決定づけれられた。
その後「栄養とその社会的意義」について教えていただき、現代の最先端の病院では、「チームで患者さんを支援する形」が整いつつあることを学んだ。

「主なる神は言われた。『人が1人でいるのは良くない。彼に合う助ける者を造ろう。』(創世記2章18節)」「主なる神はそこで、人を深い眠りに落とされた。人が眠り込むと、あばら骨の一部を抜き取り、その痕を肉でふさがれた。そして人から抜き取ったあばら骨で女を創り上げられた。(2章22~23節)」これらの聖書の言葉が示しているのは、「人間は助け合う存在として創られている。互いに支え合うのが人間の初期設定」ということである。これこそが板野さんの説くチーム医療の原点であり、理想の姿でもある。


病院で実施されるカンファレンスの意味は、ミスチルの「Gift」に重ねるとよく分かる。
「白か黒で答えろ」という難題を突きつけられ
ぶち当たった壁の前で僕らはまた迷っている。
迷っているけど 白と黒のその間に無限の色が広がっている
君に似合う色探して やさしい名前をつけたなら
ほら 一番綺麗な色 今、君に贈るよ。
だからこそ、一人の医師にまかせない。NSTでカンファレンスをが協立の合言葉なのだ。
つい、数年前まで、当たり前のように病院内に飢え、やせ衰えた人がいた。これはある意味人災であった。なずなら大半の医者は「栄養に興味がなく知識もなかった」からである。
だからこそ、未だにこの業界内に多くの誤解とミスリードが蔓延っている。その最たるものが、「胃瘻外悪説」であろう。今回参加者の多くが、目からウロコであった教えは、「胃瘻は食べることの障害を支える道具である」ということであった。つまり胃瘻は、「食べられなくなって、寝たきりになった人を生かす道具ではない。」ということなのだ。それどころか、PEG(胃瘻)は最も簡便、確実、安全、安価な代謝栄養法だったのである。
最後に現代日本が抱える闇はまだまだ深く大きいことを語られ、だからこそ今、協立ESTは、「一人の患者さんの栄養と経口摂取の回復を私たちの喜びと誇りに」という旗を掲げて日々診療に励んでおられることが語られました。大変深い学びの1時間でした。

◯参考資料
◯講演会の感想
各人が色んな立場で、考えられる卓話内容でした。板野さんに感謝です。
板野さん、昨日は有り難うございました。私自身胃瘻に関しては思いちがいしてました。正しい情報 聞かせて頂き感謝です。それぞれ素晴らしい知識を持ったスペシャリストが、うまく繋がることにより、より効果が得られる事、病院だけではなく他のところでも言えることと、思いました。
お話大変自分にとってタイムリーな話題でしたので、とても勉強になりました。胃瘻と聞くと、何故かあまり良いイメージを持っていなかったのが何故かというのが良く分かりました。結局のところ、メディアやSNS話を鵜呑みにしないで、色々な話を聴き、それを自分なりに判断するのが大切なんだと改めて思いました。
色々世の中には都合の悪いことや、損得が働くことにより、本来すべき事が出来ない事があるというのが、良く分かりました。
高齢化社会の中で、胃瘻のことを正しく理解することは、本当に大切なことだと思いました。世の中の、知識人と言われる人が、胃瘻のことをマイナスイメージで、発言されることが、多いですが、実際は、人が健やかに生活することの補助をする施術の一つであることがわかりました。ありがとうございました。

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